
携帯電話であらゆる情報を―。現在の「当たり前」を生み出した中心メンバーは榎啓一、夏野剛、松永真理(上から時計回り)の異なる才能を持った3人だった【拡大】
一方で、夏野は文書形式を携帯電話用の「WAP」でなく、広くコンテンツを募るため一般のホームページと同じ「HTML」と決めた。社内の反発は、社長の大星が封じた。
「社会が豊かになれば、人間の行動範囲は広がる。売れないわけがないと思っていた。正しいと思ったことをやる責任があると信じて行動した」
大星はそう当時を思い起こした。=敬称略、年齢は現在
■(2)散々だった記者7人のiモード発表会見 それでも世界伝播へ「行ける」と確信 に続く
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コンピューターとインターネットが急速に発展し、社会や産業の構造が大きく変わった平成の時代。2017年はAI(人工知能)元年ともいわれている。先行き不透明な時代のなか、日本で生まれ世界をリードしたイノベーション「iモード」の誕生と挫折を検証する。
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【用語解説】iモード
NTTドコモが1999年2月に提供を開始した携帯電話向けインターネットサービス。専用にレイアウトされたホームページで、天気予報や銀行口座の残高を確認できるほか、電子メールの送受信、ゲームや音楽などが楽しめる。日本国内の携帯はこのサービスをきっかけに、ほぼ通話のみに使用された海外の携帯と異なり、テレビ視聴や防水など高機能化が進んだ。このため、生物が独自進化を遂げた東太平洋のガラパゴス諸島になぞらえて、ガラパゴスケータイ(ガラケー)とも呼ばれた。