
ウェスチングハウス・エレクトリックが手掛けているボーグル原発3、4号機の建設現場。後方は稼働中の1、2号機=2013年8月、米ジョージア州ウェインズボロ(共同)【拡大】
経営再建中の東芝が、米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)について、米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用申請を選択肢の一つとして検討することが24日、分かった。7000億円超の巨額損失を出すことになった米原発事業の再建が急務となるなか、幅広い選択肢を検討する。東芝は同日、半導体メモリー事業の分社化も正式決定した。
半導体メモリー事業は3月30日開催の臨時株主総会で分社化の承認を得た後、4月1日に事業を引き継ぐ新会社「東芝メモリ」を発足。社長には東芝の成毛康雄副社長が就く。その後は3月から5月にかけて実施する入札で過半の株式を売却し、1兆円以上の資金調達を目指す。
「半導体は全株売却もあると決断した。あとは(海外の原発事業を担う)WHをどうするかだ」と東芝幹部は語気を強める。
経営再建に向け、最大の課題はバケツに空いた大きな穴をいかにふさぐかだ。巨額損失の元凶となった海外の原発事業を大幅に縮小していく考えで、「5つ程度のシナリオで本格的な議論を始めた」(幹部)という。
すでにリスクの高い建設工事からの撤退やWHへの出資比率を引き下げる再建策を表明した。このほか、既存の受注案件を選別し、採算性などから撤退すべき案件から手を引く策もある。さらにWHへの破産法の適用で一気に再建する案も出ている。慎重な意見もあって幹部間でも意見は割れており、今後、議論を深めていく。
WHの破産法の適用申請を選択肢とするのは、原発事業で今後も損失を垂れ流すリスクを切り離す狙いがある。