
京王電鉄の強みは?【拡大】
通勤時間になるともっと大変だ。2分に1本のペースで都心に向かって列車が出発する。これをさばくだけでも、大変だろう。この時間帯は、特急・準特急はない。
朝のノロノロ運転に不満を持っている京王線沿線住民は多いかもしれない。しかし、近く高架にする工事が行われ、その際に追い抜き可能な駅を増やし、列車をどんどんさばけるようにする予定だ。またそれにともなって、「開かずの踏切」問題も解消するだろう。
おそらく、京王沿線の住民の不満は「朝のノロノロ運転」「いつも混んでいる」の2つではないかと思われる。このあたりの改善にも、時間をかけながらしっかりと取り組んでいるのだ。
京王に学ぶ「個性と凡庸」
この国では、際立った個性を持っている、それがさんさんと輝いていることは、決していいことのように思われない。むしろ、みんなと一緒に、同じようなことをしていることが、まっとうな人間の証であるかのような風潮がある。
京王の列車たちは、5両編成の井の頭線の電車を除き、他から見るとみんな似たようなもの、と見えるだろう(実際にはいろいろあるのだけれども)。しかし、足元だけは京王の個性を発揮している。
平凡でありながら真面目に働いている。それでそれなりに評価されている。これは、この国で働くビジネスパーソンのひとつのあり方だ。もっとも最近はそれだけでは厳しい。だがその厳しさに対しても、なかなか見えない「足」というところで個性を発揮する。
少し回りくどい表現になってしまうが、京王電鉄の凡庸さに、ビジネスパーソンが学ぶべきことは多いのではないか。
■著者プロフィール:小林拓矢(こばやし・たくや)
1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。フリーライター。大学時代は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。単著『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)、共著に首都圏鉄道路線研究会『沿線格差 首都圏鉄道路線の知られざる通信簿』(SB新書)、ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)。