東芝が、米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の株式過半の売却を目指すのは、グループから切り離すことでさらなる損失リスクを回避するのが狙いだ。しかし、巨額の損失を垂れ流してきたWHの売却先を探すのは難しく、米連邦破産法11条の適用申請が現実味を帯びている。(井田通人)
「売上高の8割を(原発新設ではなく)サービスや燃料が占め、安定している事業もある。総合的にみていただければ(買い手が)ないわけではない」
14日の会見で、東芝の綱川智社長はWH売却の可能性についてこう自信をみせた。売却後は、海外の原発事業から事実上撤退し、国内原発の再稼働や廃炉に専念する構えだ。
東芝は、平成18年にWHを買収したが、WHは東芝の財務をむしばむ「リスク」であり続けた。
米原発事業で東芝が抱え込んだ損失は、建設中の原発4基などに絡んだ今回の7125億円にとどまらない。28年3月期にも、WHを中心とする原発事業で約2500億円の減損損失を計上したばかり。しかも、4基の原発は32年までに完成できず、損失がさらに膨らむ恐れがある。売却できれば、“泥沼”から脱出できる。