「映画の専門店」から「エンターテインメントのセレクトショップ」へ
森岡氏のミッションはテーマパークのコンセプトを「映画の専門店」から「世界最高のエンターテインメントを集めたセレクトショップ」へと脱皮させることだった。
その頃よく言われていたのは、USJは映画にこだわらなければTDLと差別化できなくなるという説だったが、森岡氏は「東京と大阪には交通費3万円の壁がある」と一蹴。商圏が違う関西で、すき間を狙うニッチ戦略を取るのは間違いだと強調した。
日本人がエンターテインメントを楽しむ際に、映画を見る確率は1割。それでは、残りの9割のチャンスを逃がしているわけで「アニメ」「ゲーム」「コンサート」「レストラン」--など、さまざまなエンターテインメントの要素を取り入れていかなければ、巨大なテーマパークは維持できないと森岡氏は主張した。
一般消費財メーカー、P&Gでヘアケア商品のマーケティングの専門家として研さんを積んできた森岡氏は、自ら無類のテーマパーク好きを公言するほどで、USJに入社する前から世界の主要なテーマパークを制覇。テーマパークで働いた経験こそなかったが、テーマパークをファンの目線で見ることができたのが、森岡氏のマーケティング手法がはまった成功要因だろう。