【高論卓説】「技術の東芝」、暗転の伏線 原子力事業に傾斜が落とし穴 (1/2ページ)

2017.3.27 06:04

米ウェスチングハウスが建設しているボーグル原発3、4号機の冷却塔=米ジョージア州(共同)
米ウェスチングハウスが建設しているボーグル原発3、4号機の冷却塔=米ジョージア州(共同)【拡大】

 JR川崎駅(川崎市)に隣接した、再開発ビルの中に「東芝未来科学館」はある。東芝の歴史を振り返りながら電気や半導体、エネルギーなどの分野について学べる展示が並んでいる。3月の連休とあって、親子連れの入場者であふれんばかりだった。

 未来科学館の前身は1961年にさかのぼる。現在の場所に移転、リニューアルしたのは2014年4月のことである。東日本大震災による東京電力福島第1発電所の事故のためか、東芝の原子力発電の取り組みは、ささやかなパネルで紹介されている。

 そして今、債務超過に転落する危機を回避するために、分社化して株式を売却する半導体部門の大きな柱である「フラッシュ・メモリー」についてもまた、会場の片隅に追いやられているかのようである。

 このメモリーは、東芝の研究者だった舛岡富士雄さんが1980年代に発明した。今では、携帯電話やデジタル機器の記憶媒体としてなくてはならない。舛岡さんを四半世紀前にメモリーの仕組みについて取材した思い出が懐かしい。このメモリーが、米インテルが独占的な地位を確立しているCPU(中央演算処理装置)とクロスライセンス、つまり技術の導入にあたって金銭で支払う代わりに技術を交換する、と東芝の当時の幹部からひそかに聞いたときの驚きは忘れない。

 未来科学館のアトラクションの中で、小学生の生徒たちを引きつけていたのは、復元した江戸時代のからくり人形である。茶碗(ちゃわん)を盆にささげ持って子供たちに近づき、それを受け取ると一回りして戻っていく。創業者の一人である、田中久重は「からくり儀右衛門」と呼ばれたように、子供時代からさまざまなからくりに没頭した。

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