
三重県四日市市の東芝四日市工場【拡大】
ただ実際に働いている従業員には不安もある。外部の企業が経営権を握れば、人員整理や東芝ブランドの消滅といった事態も将来はあるかもしれない。40代の男性は「長く働きたいけど、この先どうなるのか。(売却で)東芝の工場ではなくなるかもしれないとも聞くが、詳しい話は分からない」と言う。
屋台骨
東芝が半導体事業を分社化し株式の過半数の売却を含め外部資本を導入すると発表した2月下旬。四日市市の森智広市長は自身のブログに「最大限の支援を行っていく」と書いた。工場の幹部が「操業と雇用は堅持する」と約束したという。
四日市市の人口は三重県で最も多い約31万人。伊勢湾に面した沿岸部に石油コンビナートを抱え、内陸部にも多くの企業が製造拠点を構える。
中でも東芝は地元経済を支える屋台骨を担う。工場の従業員は市内の企業では最大の5800人(2016年3月末)。県内では約6000人が働くホンダの鈴鹿製作所(鈴鹿市)に次ぐ。