再配達のワガママが通じるのはいまだけだ 10年後に24万人のドライバー不足(前編) (4/5ページ)

 参考になる数字として、国土交通省等によるモーダルシフト等推進官民協議会が2011年の段階で行った荷主へのアンケート調査がある。この中間とりまとめによると、自動車輸送のうち鉄道輸送に切り替えられるものが、そもそも0.23%しかなかった。鉄道輸送は、急な出荷の増減には対応しきれない。実際のデータを見ると、2015年までの4年間で自動車輸送が占める比率はすでに4%ポイント減っており、モーダルシフトによるこれ以上の効果はあまり期待できない状況だ。

 そのほか、バス・タクシーの混載輸送といった規制緩和や宅配ボックスの普及によるラストワンマイルの工数軽減、幹線の自動運転化など、いくつかドライバーに対する需要減につながる要素はあるものの、われわれの分析では、いずれも大幅な需要減にはつながらないという結果となった。

 例えば報道などでしばしば取り上げられている、宅配ボックスの設置だが、これは設置者側のインセンティブとなる要素がほとんどないことが、ネックになる。コンビニエンスストアへ宅配ロッカーを設置する場合、一台あたり約200万円のコストがかかる。自宅(戸建て)への宅配ボックスの設置費用は、当然、自己負担となる。こうした費用を考えると、宅配ロッカー・ボックスを設置するインセンティブは小さい。

 コンビニエンスストアはすでに宅配荷物の預かり所として機能しているが、その手数料収入はごくわずかしかない。仮に国が設置費用の一部を補助したとしても、宅配ロッカーでの収益化は難しい。

再配達が解消すれば解決するのか