再配達のワガママが通じるのはいまだけだ 10年後に24万人のドライバー不足(前編) (5/5ページ)

 再配達によるドライバーの負担が話題に上ることも多いが、われわれが思っているほど再配達されている荷物の割合は高くない。国土交通省の「物流を取り巻く現状について」によると、全体の2割程度だ。しかも、そのほとんどが2度目の配達で配り終えている。

 仮に再配達を約半分の10%削減した場合でも、削れる労働時間は年間約3000万時間しかなく、それをドライバー数に換算すると、年間約1万人分の削減効果にしかつながらない計算になってしまう。

 以上の要素を総合して考えると、やはりドライバーに対する需要は増える要素が圧倒的で、減る要素はあったとしても影響はごくわずかということになる。

 高齢化などでドライバーは今後10年間で約11万人減る

 一方の供給面を見てみよう。ここで大きな要素となるのはドライバーの高齢化だ。すでに高齢のドライバーも多いことから、今後、引退していくドライバーの数も相当数に上ることが予想される。

 トラック運転手として働くためには、中型か大型の自動車免許を取得する必要がある。若い人にはハードルが高いうえ、低賃金や長時間労働など、労働環境は厳しく、なりたい人は減少している。大幅な賃金上昇は望めない環境にあることや、他業界でも進む人手不足の現状などを考えても、今後10年間で、ドライバーの数は約11万人減るだろう。

 以上、需要面と供給面の双方から影響を細かく分析して総合すると、冒頭で申し上げたように、今後10年間で24万人ものドライバー不足が生じるという結果となった。

 この深刻なドライバー不足を解消するため対策は、果たしてあるのだろうか。後編では、その「打ち手」について検討する。

 ※後編は1月13日に配信します。

 森田章(もりた・あきら)

 ボストン コンサルティング グループ(BCG)パートナー&マネージング・ディレクター。消費財・流通・小売・運輸を中心に、成長戦略、新規事業戦略、デジタルマーケティング、サプライ・チェーン・マネジメント(SCM)のプロジェクトを手掛けている。特に物流、食品・飲料セクターの経験が豊富。【BCG運輸・旅行・交通サイト】https://www.bcg.com/ja-jp/industries/transportation-travel-tourism/default.aspx

 (ボストン コンサルティング グループ(BCG)パートナー&マネージング・ディレクター 森田 章)(PRESIDENT Online)