宮古島の地域振興にも一役買っている。当初は行政に持ち掛けても「雑草で事業ができるわけがない」と相手にされなかったが、諦めずに試験栽培を続けるうちに協力者も増え、現在は契約した農家と生産組合を立ち上げて管理栽培を行っている。
「駆除しても駆除しても生えてくる島の嫌われ者だったが、今では宝物に変わった」(谷口直隆・事業統括兼営業担当部長)。BPの可能性を化粧品や医薬部外品にも広げる考えで、さらなる生産農家の拡大・雇用創出を目指す。
◇
■出荷額はピークから半減、東京でもPR
沖縄に自生している伝統的薬草「島桑」を地域資源に変えたのが浦添市だ。研究の結果、桑葉に、食後の急激な血糖値の上昇を抑える機能成分(デオキシノジリマイシン)が多く含まれることが分かった。カルシウムや食物繊維、鉄分も豊富に含まれており、沖縄の新しい健康食品素材として注目を集める。
地域を代表する特産品がなかった浦添市は、この事業を高齢者の雇用と生きがいをサポートする浦添市シルバー人材センターに委託。シルバー会員が徹底した無農薬栽培と無添加原料にこだわって生産した桑葉を乾燥・粉砕して「てだ桑茶」として2012年8月に発売した。桑葉はそれまで、カイコの飼育に適した春と秋を除くと捨てられていたので有効利用につながった。
県内量販店を中心に販売してきたが、桑葉の生産量が増加。「県外にも安定供給が可能になったため、今年から販路拡大に乗り出す」(同センターの浦崎祐和販売管理担当)。その一環としてフレスコ(名古屋市中区)と総代理店契約を結んだ。
強い紫外線、年中温暖な気候、サンゴ礁の大地-。こうした沖縄の生育環境が抗酸化成分や食物繊維、カルシウムなどを豊富に含む植物を育てたといえる。