キヤノン、中国から生産移管検討 米向けインクカートリッジ 経費増懸念

キヤノンの田中稔三副社長=2017年7月27日、東京都中央区
キヤノンの田中稔三副社長=2017年7月27日、東京都中央区【拡大】

 キヤノンの田中稔三副社長は25日の決算会見で、中国工場で生産する米国向けのプリンター用インクカートリッジを、米国工場での現地生産に切り替える検討をしていることを明らかにした。米国が中国の知的財産権侵害に対抗する措置として25%の追加関税を課すとした品目に含まれており、コスト増が懸念されるためだ。

 田中副社長は「生産移管は物理的に可能」とした上で、「今のところは様子見だが、今後の動きをみて判断する」とした。2018年12月期決算への米中貿易摩擦の影響については、現時点では織り込んでいないという。

 同日発表した18年1~3月期連結決算は、最終利益が前年同期比3.7%増の571億円だった。半導体メモリーの活況を受け、半導体露光装置の販売が好調だった。売上高は1.2%減の9607億円。小型デジタルカメラの販売減や、前年同期に好調だった医療機器の反動減などが響いた。

 18年12月期の業績見通しは売上高が前期比5.4%増の4兆3000億円、最終利益が15.7%増の2800億円の従来予想を据え置いた。