「手形」が急激に減少している。2017年の交換高はピーク時の1割以下で、交換所も減り続けている。企業のコスト削減や現金決済の拡大が要因だ。一方で、運用が始まった電子記録債権(でんさい)の伸びも頭打ち傾向にある。(東京商工リサーチ特別レポート)
手形交換は、金融機関が手形や小切手などを持ち寄って交換する民間の決済制度。明治12年に大阪手形交換所が最初に開設され、手形や小切手の流通増につれて全国各地に手形交換所が開設された。
手形は中小企業の資金決済の重要な手段で、右肩上がりで増加してきたが、1990年を境に一気に減少している。大企業が率先して手形印紙税や管理にかかる人件費などのコスト削減に取り組み、現金決済の広がりが中小企業にも波及したことが要因となっている。
手形の減少は中小企業の資金調達にも変化をもたらしている。受取手形を手形割引や裏書譲渡に使えず、資金余力に乏しい企業は金融機関への依存度を高めている。
◆手形交換所もピーク時から4割以上減少
2017年の手形交換高は374兆1580億円で、前年比11.8%減と2年ぶりに前年(424兆2244億円)を下回った。全体のおよそ半分(49.5%)を占める大阪手形交換所は、2017年は前年比9.8%減(205兆7942億円→185兆5250億円)となった。