仕方なく支払うけど料金がおかしい…思いを事業化、葬儀業界に一石を投じた「イオンのお葬式」 (1/5ページ)

 日本エンディングサポート協会の調べによると、葬式を出したことのある人のうち3割はその葬式に納得せず後悔しているという。原因は不明朗な業界慣行。そこに着目したのが流通大手のイオンだ。葬儀の新しい動きを紹介する。

 価格も品質もイオン基準で大丈夫か

 両親や配偶者など身近な人の葬儀は、突然やってくる。実際に自分が喪主となって、葬儀業者や内容に疑問を抱く人も多いようだ。

 実は筆者にも経験がある。社会人1年目の秋に実家の父が病死し、喪主を務めたのだ。明け方に亡くなり病院から慌ただしく遺体を搬出、自宅に運び入れた直後に葬儀社の中年男性がやってきた。早速、持参のファイルを示しながら、早朝にはそぐわない大声で祭壇のランクを紹介し、「世間体を考えますと最低これぐらいは……」と矢継ぎ早にセールストークをする。供花の種類から仕出し料理の内容まで、料金を多めに積み上げようとする姿に違和感を抱いた。

 実家が加入していた互助会を通じての業者だったが、責任者である上司が来た際に、一連の言動の不快さにクレームをつけたら、謝罪とともに一部の料金が値引きとなった。

 この人も似た感情を抱き、その思いを事業化につなげた。葬儀業界に一石を投じた「イオンのお葬式」の発案者・広原章隆氏(イオンリテール イオンライフ事業部事業部長)だ。

クルマ一台買えるほどの支出なのに契約書もない