
常葉大学経営学部教授・山本隆三さん【拡大】
-再エネは純国産の低炭素電源であり、ドイツのように導入量をどんどん増やすべきと考える人も多くいます
「そうではないですね。再エネ大国といわれるドイツは悩みを深めています。主要国で最も早くFITを導入した同国では、太陽光発電設備が急拡大したことによって増加した再エネ賦課金を抑制するため、適用対象を小規模太陽光に限定し、さらに入札制度導入などの見直しを実施しました。その結果、太陽光導入量は激減しましたが、20年の温暖化目標未達の問題に直面しました。目標達成には発電量の約4割を占める石炭火力を再エネで代替するしかありませんが、電気料金の上昇を招くため、ドイツ政府は今年初めに20年目標の放棄を決定しました。最近、メルケル首相はEU(欧州連合)の会合で加盟28カ国の環境大臣を前に、『1番優先されるのは雇用だ』と明言しています。実際、ドイツは国際競争力に影響のあるエネルギー多消費型産業の賦課金を免除していますが、今ではその対象企業は2000社を超え、全消費電力の4分の1が免除対象になっています」
-ドイツに続いてFITを導入した欧州各国の現状はどうなのでしょうか
「温暖化対策より経済を重視し始めたのはドイツだけではありません。スペインはFITによって高くなった電気料金の抑制を目的に、13年には再エネで発電した電気の買い取り価格の減額を、既得権を持っている事業者にもさかのぼって適用する制度に改め、再エネ設備の新規導入をほぼゼロにしました。イタリア政府は太陽光発電事業者に対する新税を導入し、太陽光設備を抑制しています。同国内ではその新税のことを『ロビンフッド税』、すなわち『正義の味方税』と呼んでいるそうです」