【シリーズ エネルギーを考える】持続可能な社会実現への政策が重要 常葉大学・山本隆三教授 (4/4ページ)

常葉大学経営学部教授・山本隆三さん
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 -日本の未来を担う子供や孫の世代のために、エネルギーや電気のことで私たちが考えなければいけないことは

 「最近の原子力発電所の再稼働に関する世論調査では、20歳代では6割以上が再稼働に賛成しています。日本では『失われた20年』のために、初任給が上がっておらず、経済再生を願う若者の思いは切実です。年齢が上がるに従って再稼働反対が増える傾向にあり、高齢者や子供を持つお母さんの反対が多くなりますが、やはり今の日本では『失われた20年』から脱却するためにはどうしたらいいかを考えなくてはいけません」

 「エネルギー政策の目的は、持続可能な発展を実現することです。国連の定義によると、持続可能な発展とは『将来世代が自らのニーズを充足する能力を損なうことなく、現世代のニーズを満たすような発展』としています。すなわち、将来世代が少なくとも現世代と同程度の生活水準を維持できなくてはいけないということです。ところが、給料が下がり、家計の支出を切り詰めてきた今の日本は、そうなっていません。持続可能な発展を実現するためには、経済成長を支え、後押しする安価で安定的な電力が不可欠であるということを、皆がよく考えるべきではないでしょうか。適正なコスト競争力を持った再エネはもちろん導入を拡大していくべきですが、再エネは温暖化対策に貢献してもエネルギー政策の目的の一部しか満たしません。日本を持続可能な発展に導くには、最も付加価値額の高い製造業の国際競争力を高めていく必要があります。そのためには、温暖化問題とともに電力の供給と料金の安定化に寄与する原子力の利用が重要になります。同時に、世界的には増加する見通しである原発建設で、日本の原子力技術が果たすべき役割が大きいという現実にも、日本人はきちっと目を向けていくべきでしょう」(聞き手・神卓己)

【プロフィル】山本隆三

 やまもと・りゅうぞう 京都大学工学部卒業後、住友商事に入社。地球環境部長などを経て2008年プール学院大学国際文化学部教授、10年から現職。財務省財務総合政策研究所「環境問題と経済・財政の対応に関する研究会」、経産省「産業構造審議会環境部会地球環境小委員会政策手法ワーキンググループ」委員などを歴任、現在は新エネルギー・産業技術総合開発機構技術委員、地球温暖化対策技術普及等推進事業審査委員会委員などを務める。著書に、『いま「原発」「復興」とどう向き合えばいいのか』(共著、PHP研究所)、『経済学は温暖化を解決できるか』(平凡社新書)など多数。1951年香川県生まれ。