【キャッシュレス革命(3)】普及18%…出遅れる日本 個人情報漏洩リスクなど背景 (2/4ページ)

アリペイで買い物の決済をする観光客=東京・秋葉原の「ラオックス秋葉原本店」(斎藤良雄撮影)
アリペイで買い物の決済をする観光客=東京・秋葉原の「ラオックス秋葉原本店」(斎藤良雄撮影)【拡大】

 経済産業省の調査では、国内のキャッシュレス決済比率は18%程度(15年)。89%の韓国、60%の中国と比べると雲泥の差で、30~50%台の欧米各国とも差をつけられた。特に5000円以下の少額決済は9割が現金といわれ、訪日外国人から不満が出ている。

 「キャッシュレス後進国」と揶揄(やゆ)される日本だが、国民にその危機感は薄い。全国に張り巡らされたATM(現金自動預払機)網で24時間現金が引き出せるため、日常生活で不便がないからだ。

 過去にもブーム

 「現金で十分便利じゃないか。今までもキャッシュレスブームは起きたが、日本では普及しなかった」

 中堅銀行の首脳は自嘲気味に話す。これまでのブームを目の当たりにしてきた関係者には過熱するキャッシュレス化の動きに慎重な声もある。

 1999年に登場した「Jデビット」は銀行のキャッシュカードに利用代金が口座から即座に引き落とされるデビットカード機能が付く優れもので、実は多くの人が持っている。ただ、利用者はほとんどいない。

 専用端末が必要で加盟店が少ない上、金融機関のオンラインシステムの運用時間帯に利用が制限されるなど使い勝手が悪いからだ。デビットを使うなら、クレジットカード加盟店で使える国際ブランドの方が便利で、Jデビットは日本でしか使えない「ガラパゴス化」して廃れた。

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