王将フードサービスは13年12月に、信望が厚く同社を東証1部上場企業に導いた前社長・大東隆行氏が京都市山科区の本社敷地内で何者かに射殺された。渡邊直人常務が新社長に就任したが、いまだ犯人は逮捕されておらず、真相は究明されていない。社内では突如大黒柱を失ったことによる喪失感が広がり、社員に落ち度があったわけではないが、客足も鈍くなって低迷を余儀なくされていた。
ギョーザ市場の変化に乗り遅れた
渡邊氏が社長に就任した14年3月期における王将フードサービスの売上高(連結)は762億8100万円(前年同期比2.6%増)だったが、直営既存店の売り上げは1.6%減、経常利益は20.4%減だった。この頃からギョーザ市場に変化があり、対応への遅れが顕在化し始めていた。
ちまたでは新たなギョーザブームが起こり、宇都宮や浜松にあるようなご当地ギョーザに加え、首都圏や関西圏をはじめとする大都市を中心に、“女子受け”するギョーザ店やギョーザをメインとする居酒屋が台頭してきた。
声優の橘田いずみ氏がギョーザ評論家として活動を始め、14年5月には『橘田いずみのザ・餃子』(角川書店)といったギョーザ愛にあふれた本を出版。渋谷と青山の「立吉餃子」や、青山の「ギョウザバー・コム・ア・パリ」などの新鋭店がワインに合うギョーザを提唱。器や内装にもおしゃれ感が漂う雰囲気を提案し、これまで考えられなかった“餃子女子”が大量発生した。
一方で、11年に誕生したギョーザ専門大衆居酒屋「肉汁餃子製作所 ダンダダン酒場」は東京都西部を中心に60店舗超を展開するまでになった。肉汁が飛び出すようなジューシーさと、昭和の大衆酒場をイメージした店づくりが売りで、類似店が多数生まれた。
ニーズが高まる“ニンニクレス”ギョーザ
新たなギョーザブームを背景に、ニンニクを入れない、または使用量を抑えたにおわないギョーザへのニーズが高まっていると判断した餃子の王将では、16年5月より「にんにくゼロ餃子」(240円、税抜、以下同)を発売して一定の成果を得ている。値段は通常の「餃子」と一緒で、注文する際、店員に「にんにくゼロを食べたい」と言えば無料で変更してくれる。