首都圏私鉄、快適車両で沿線価値向上へ 「乗りたい」車両で「住みたい」狙う (4/4ページ)

東急電鉄が田園都市線に導入した「2020系」。車両の先頭形状は丸みを帯びた柔らかみのある顔をイメージした
東急電鉄が田園都市線に導入した「2020系」。車両の先頭形状は丸みを帯びた柔らかみのある顔をイメージした【拡大】

  • 東急電鉄の新型車両「2020系」の車内。沿線風景をイメージしカラーコーディネートにこだわった
  • 相鉄がイメージカラーの濃紺色で塗装した「20000系」。先頭形状は通勤型車両のイメージを打ち破るインパクトデザインを採用
  • 相鉄はリニューアルした「9000系」から昼と夜で色調を変える照明を採用

 そこで声をかけられたのが空間デザイナーの丹青社だった。商業施設などの空間づくりでかかわってきたからで、東急のコンペを勝ち抜いたデザインセンターの上垣内泰輔プリンシパルクリエイティブディレクターは「車両のことは知らなくてもいいので、インテリアデザイナーとして参加してほしいと打診を受けた」と打ち明ける。

 東急らしい親近感と先進性から田園都市線の沿線住民のライフスタイルを調べ、ベースカラーを選定し先頭の顔を決めた。「車両を移動のための道具ととらえず、沿線に住む人のリビングルームを動かすという提案を行った」(上垣内氏)という。

 「安全・安心・エレガント」という相鉄のデザインコンセプトから膝詰めで議論してきたのは洪恒夫エグゼクティブクリエイティブディレクター。「通勤電車は日常使いの住民の足。住んでもいいなと思える沿線価値向上を狙いに車両をデザインした」と説明、20000系には高齢者や子育て世代に配慮し、立ち座りが容易なユニバーサルデザインシートとベビーカーなどのフリースペースを設けた。デザイン車両が「選ばれる沿線」の実現を後押しする。

 洪氏は「われわれは目に見えるところをスタイリッシュにするのが仕事。デザインがビジネスにかかわることに企業が気づくようになった」と指摘する。誰にも愛される空間づくりを手がけられるプロの活躍の場が広がりそうだ。(松岡健夫)