しかし市場開業から約1年半後の11年3月、東日本大震災が店を襲った。港に面した店に津波が直撃。機材がひっくり返り商品は散乱、床は泥で見えなくなっていた。「店はぐちゃぐちゃ、原発事故で風評被害が出るのは間違いない。もうやめよう」と本気で考えたとき、生産者からたくさんの応援メッセージが届いた。
常盤氏は「こんなにメッセージをもらったらやらないわけにはいかない。絶対やってやる」と再起を誓った。
足を運ばせる工夫
店自体は同7月に再開できたが、客足と売り上げは確実に減っていた。そんな中、常盤氏は客単価は上がっていることに気づく。「お店に足を運んでもらえさえすれば、買ってくれる。復興を応援してくれる」
そう確信して、思わず足を運びたくなるようなイベントを次々に展開した。約100人の占い師を集めたイベントや、ご当地プロレスなど多種多様なコンテンツを披露して客を集めた。品物をPRして「買ってもらうこと」ではなく、おもしろいイベントを開催し「足を運んでもらうこと」に注力した。
ガルパンの企画が舞い込んできたのもそのころだった。当初は「手伝い」という形で、会社ではなく個人として携わっていたが、次第にのめり込み、キャラクターが描かれたラッピングバス、電車運行の企画を主導するようになり、ガルパンブームの仕掛け人の一人になっていたという。今では大洗シーサイドステーションの2階で、大洗ガルパンギャラリーの運営を同社が担っている。
「これからも茨城の特産品を知ってもらえるように、質の高い商品と、おもしろい企画でお客さんを呼び込み続ける」と語る常盤氏の挑戦はまだまだ続きそうだ。(永井大輔)
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【会社概要】Oaraiクリエイティブマネジメント
▽本社=茨城県大洗町港中央11-2 ((電)029・266・1147)
▽設立=2009年5月
▽資本金=100万円
▽従業員=12人(18年9月時点)
▽事業内容=地場産品の販売、地元土産の販売、開発、イベント企画など