
ドローンのユニークな活用で海外メディアから大きな注目を集めている熊田貴之氏【拡大】
「詳細はいずれ明らかにしますが、今はまだ詳しいことが言えません。特殊な電波発信機を使ってドローンが自らの位置を確認することで操縦者やGPSがなくても障害物に当たることなく設定ルートを飛行できるようになります。暗いところでも大丈夫です」
--ブルーイノベーションのプロジェクトの多くがドローンの室内飛行を使った課題解決のようですね
「そうですね。さまざまな重要課題があります。オフィス内巡回もそうですし、下水管の点検や工場・倉庫内の警備や点検も室内の自律飛行が鍵になっています。ドローンの室内での利活用はかなり将来性が見込める分野です。解決できる課題は山積だと言ってもいいでしょう」
--東京などの都市部では、ここ数年で規制が急に厳しくなってドローンを自由に屋外で飛ばすことができなくなりました。室内ドローンの分野に力を注ぐ理由の一つはそれですか
「はい。もちろんドローンの屋外での利活用にはいろいろな可能性がありますが、ルールが非常に多いのが実情です。一方で、この規制が日本のドローン業界には良い方向に働くかもしれないと思っています。世界が一生懸命、屋外に目をこらしているなか、日本にいる僕たちは室内飛行で難しい問題を解決するしか成功する道がない状況にあります。幸い、日本には優れたセンサー技術があります。それを生かしたドローンの室内飛行を磨いていけば、日本企業がこのニッチ市場を支配する可能性があると思います」
センサー技術武器に
--現在、世界を見渡せばドローンが物流や農業、地形などの環境の監視といった分野で利用されています。長期的にみて、ドローンによって最も大きくディスラプト(破壊)される業界はなんだと予測していますか
「物流だと思います。飛行技術は、過去にそのように展開していったからです。航空機が最初に大規模に使われたのは、戦争でした。軍用機として普及した後、技術革新とコストダウンによって、民間輸送に利用されるようになり物流は大きく変わりました。ドローンが世界中で幅広く使われるようになると、類似の展開が予測されます」
--ドローンがまだその段階に達していない原因は何でしょう。ハードウエアの限界か、またはソフトウエアに成長を阻害する理由があるのでしょうか
「多くの企業がドローンのソフト面に力を入れていますが、今、足を引っ張っているのはほとんどがハードの問題だと思います。たとえば、飛行時間や最大積載量がドローンの利活用を制限する要因となっています」
--なるほど。室内飛行でも、長い洞道や下水管の検査といった場面で10分や15分しか飛行できなければそれが足かせになりますね
「そのとおりです。現実に検査を行うとなると、長距離・長時間飛行が必須です。その限界に加えて、物流においては積載量の限界が成長を妨げる要因になっています。2キロの荷物を数キロ飛ばせるドローンはアイデアとしてはとてもおもしろいですが、現実世界の物流を考えたときにそれではできることがあまりにも限られています。もちろんその制限を取り除こうと、業界全体が日々進歩しています」
--現状ではドローン技術の世界的リーダーは中国だとされています。日本はそれに対抗することができますか