【日本発!起業家の挑戦】ブルーイノベーション 室内自律飛行ドローンで世界目指す (4/4ページ)

ドローンのユニークな活用で海外メディアから大きな注目を集めている熊田貴之氏
ドローンのユニークな活用で海外メディアから大きな注目を集めている熊田貴之氏【拡大】

 「中国はハード面ではるかに先を行っていると思います。世界一の技術力です。しかし、それにソフト及びセンサー技術を組み合わせて、ドローンを活用するという点においては日本企業に大きなチャンスがあります。コアとなるドローンの機体ではなく、その上のサービスの層において日本は躍進できると思います」

 

 多くの中小企業にとって、新しい物にチャンスを見い出す熊田氏のような柔軟性は重要であり、彼の姿勢から学べるものがあると思う。熊田氏は大学院在学時代からの自らの専門分野である海岸事業が震災後数年経って縮小していくことを感じたときに、黎明期のドローンの可能性を鋭く嗅ぎ分けてそのチャンスをつかんだ。それにとどまらず、規制により屋外でのドローン利活用が難しくなったときも室内自律飛行に力を入れて活路を見い出した。世界を見渡してハードウエアで劣っていることに気づけば、アイデアを絞って技術のインテグレーションと活用で業界を牽引(けんいん)する道を選んだ。

 いずれのステージにおいても、熊田氏は難しい状況を自社の強みへと転換してきた。それこそが、スタートアップが真に成功する唯一の道だ。

 文:ティム・ロメロ

 訳:堀まどか

【プロフィル】ティム・ロメロ

 米国出身。東京に拠点を置き、起業家として活躍。20年以上前に来日し、以来複数の会社を立ち上げ、売却。“Disrupting Japan”(日本をディスラプトする)と題するポッドキャストを主催するほか、起業家のメンター及び投資家としても日本のスタートアップコミュニティーに深く関与する。公式ホームページ=http://www.t3.org、ポッドキャスト=http://www.disruptingjapan.com/