老舗ブランドの“老朽化”問題
海外ではトウモロコシ原料のスナックも人気だが、日本の消費者の間ではどうしてもスナック=ポテトチップスのイメージが根強い。加えて「非ポテト」スナックが停滞している理由として内田さんが挙げるのは、ロングセラー商品の宿命ともいえるブランドの“老朽化”だ。
主に若者が食べているイメージのあるスナックだが、スコーンの現在の主要ユーザーは35~45歳。ちょうど冒頭で紹介したCMが流れていた1980~90年代に子供時代を過ごした層が該当する。ただ、このCMは97年に放送終了している。
湖池屋が2017年に調査したトウモロコシ系スナック市場における世代別の喫食頻度では、スコーンは30代で他のブランドを引き離しトップとなった。ただ、10代では4位、20代も5位と落ち込んでいる。例のCMを生で見ていない世代だ。
高校生が抱く「昭和」のイメージ
18年、湖池屋が高校生にアンケートをとったところ多く挙がったのは「昭和っぽいお菓子」というイメージだった。「若い世代に『自分たちのお菓子』だと思ってもらえていない。彼らがユーザーにならないとこのままでは先細るだけ。徐々に首を絞められており、若返りの必要性を感じた」(内田さん)。
他社でも老舗ブランドの“老朽化”は珍しくない。同じくトウモロコシが原料の明治「カール」は約50年親しまれてきたロングセラーだが、17年8月に東日本エリアでの販売を終了した。同様に若いユーザーの取り込みがうまくいかなかったとみられる。内田さんは「ポテトチップスは菓子メーカー各社が非常に力を入れてきた。しかしその他のスナックについては、業界全体があまり新施策を打ち出してこなかったのではないか」とみる。
一方、高校生に「どんな味のスナックを選ぶか」を聞いたところ、人気が集まったのはスコーンが本来売りにしていた「濃い味」だった。スコーンに対して他ブランドよりこの特徴を評価しているという結果も出たことから「高校生は本当はスコーンを買ってくれる可能性が高い。気付かれていないだけではないか」(内田さん)と考え、彼らに特化したマーケティングを打ち出すことにした。