日本からGAFAが生まれなかった根本原因とは 経営用語の盛衰で見る歴史的変化 (2/4ページ)

単語の使用頻度が人々の社会における関心の指標

 広く書籍のなかで、どの単語がどのような頻度で使われるか。その変化を見ることで、社会における人々の関心の変化をとらえることができる。ひいては今がどのような時代かが見えてくる。

 Google Books Ngram Viewerは対象データが2008年までに制限される。逆に1500年までさかのぼれることから、このツールは直近の変化ではなく、歴史的な動向を俯瞰するのに向いている。

 図表1は、Google Books Ngram Viewerを使い、ビジネス分野の主要単語の使用頻度が歴史的にどのように変化してきたかを検索した結果である。対象期間は1700年以降、2008年までである。

 Google Books Ngram Viewerを生かすには、用いる単語の設定をうまく行う必要がある。歴史を俯瞰しながら、今を考えるには、どのような単語が望ましいか。そこにはさまざまな選択がありうるが、今回は現代のビジネスに欠かすことのできない概念を取り上げることにした。

 そこで注目したのが、英語圏を中心としたグローバルなビジネス教育におけるMBAの影響力の大きさと、その基幹科目の構成である。MBAとは経営管理の修士号(master of business administration)であり、戦略(strategy)、マネジメント(management)、マーケティング(marketing)、ファイナンス(finance)、会計(accounting)などの諸学が基幹科目として定着している。さらに経営学が企業経営を、市場(market)と組織(organization)の相互作用の問題ととらえてきたことを踏まえて、今回の用語選定を行った。

 なお、Google Books Ngram Viewerを使用する際には、1単語が単位となる。そのために組織行動(organizational behavior)、人的資源管理(human resource management)、サプライチェーンマネジメント(supply chain management)のような、複数の単語を組み合わせなければビジネス上の概念とはならない用語については、今回の検討の対象外となる。

歴史上いつ、ビジネスという言葉は活発に語られるか

 以上の単語を用いて300年の歴史を振り返ることで、何が見えてくるか。図表1で注目したいのは、ビジネス(business)という言葉の使用頻度が急増する時期があることである。

 300年の歴史のなかで、ビジネスという言葉が活発に使われるようになる第1期は、18世紀後半であり、第2期は19世紀後半から20世紀初頭にかけてである。第1期は、蒸気機関と機械化による第1次産業革命、第2期は電力と大量生産による第2次産業革命の時期と重なる。

 その後のビジネスへの言及は20世紀の中盤には低下していく。意外に思われるかもしれないが、第2次世界大戦を間に挟む50年ほどの時期は、ビジネスの冬の時代だった。しかしビジネスへの関心は、1970年代以降に再び上昇期を迎える。これは、ITがもたらした第3次産業革命の時期と重なる。

 新しい動力や生産方法や情報処理などの技術の登場は、市場のフロンティアを広げる。そして人々はビジネスを語りはじめる。このような関係が見てとれる。

「MBA」が得意とするのは巨大組織の舵取り