【開発物語】三井化学「TouchFocus(タッチフォーカス)」 (1/4ページ)

タッチフォーカスはハイテクの塊だが、見た目は一般的な眼鏡と変わらない
タッチフォーカスはハイテクの塊だが、見た目は一般的な眼鏡と変わらない【拡大】

  • 昨年10月の「国際メガネ展」では多くの来場者を集めた
  • 丁寧な説明ができる眼鏡店で販売している
  • タッチフォーカスの商品化を牽引したE-Glass事業開発グループの早瀬慎一リーダー(前列左)と村松昭宏開発リーダー(前列右)
  • タッチセンサーに触れるだけで瞬時に近くが見やすくなる

 ■遠近切り替えワンタッチの電子眼鏡 「目の健康」に敏感なシニア層に需要

 ≪STORY≫

 三井化学が、ワンタッチで遠近の切り替えができる電子眼鏡「TouchFocus(タッチフォーカス)」の販売を拡大している。昨年2月に7店舗で販売を始め、直近には30店舗以上に拡大。2019年は100店舗を目指すほか、海外販売も視野に入れる。遠近両用眼鏡や老眼鏡に比べて快適で、目の健康を保つのに役立つとあって、シニア層を中心に引き合いが増えている。

 昨年10月、東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれたアジア最大級の眼鏡展示会「国際メガネ展(IOFT)」。三井化学のブースには、タッチフォーカスの実力を試そうと、多くの人が群がっていた。

 三井化学がこの製品を展示したのは一昨年に続き2回目だ。前回も注目を集めてはいたが、発売後の今回はさらに来場者が増え、「使えるだけでなくデザインもいい」などの好意的な反応が得られたほか、新しもの好きとみられる比較的若い人も少なくなかった。タッチフォーカスの事業を手掛けるE-Glass事業開発グループの早瀬慎一リーダーは、その様子を見て販売拡大への自信をさらに深めた。

 タッチフォーカスは、レンズ下部に埋め込んだ液晶の度数を切り替えて使う、まったく新しいタイプの眼鏡だ。フレームのこめかみに触れる部分(つる)に付いているタッチセンサーに約1秒触れると液晶に電圧がかかり、瞬時に近くが見えやすくなる。

 見た目は一般的な眼鏡と変わらず、液晶の存在にはよほど注意しないと気づかない。重さもプラスチック(樹脂)製フレームの製品で約30グラムとほぼ同じだ。

 フレームの右側先端に差し込むバッテリーは、1回の充電で約10時間の連続使用が可能だ。新聞を読んだり、スマートフォン画面を見たりするのが1日1時間とすると、週に1回程度の充電で済むことになる。

 遠近両用眼鏡は、レンズ下部が近距離用になっている。そのため、近くを見るたびに視線を落とす必要がある。自然と目を動かす回数は多くなり、疲労が蓄積しやすい。

 視野の両端にゆがみ(収差)が生じるのも欠点で、かけたまま歩くと足元が見えにくく、階段を上り下りする際は特に危険だ。ほかにもゴルフのショットを打つ際など、何かと不便がつきまとう。早瀬氏はそうした不便を解消し、「快適な生活をサポートしたいと考えた」と話す。

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