エネルギー政策の根幹を担う経済産業省【拡大】
電力会社の発電と送配電部門の分離(発送電分離)などを盛り込んだ電力システム改革をめぐり、反対してきた電力業界が土俵際まで追い込まれている。経済産業省の有識者会議が報告書案をまとめ、法律改正が視野に入ってきたからだ。
ただ、原発の再稼働が進まない中で改革が先行すれば、電力各社の再値上げも現実味を帯びる。安倍晋三政権が進める「アベノミクス」を背景にした景気の上ぶれ期待に水を差しかねず、改革の早期実現は見通せない。
しぼむ期待感
1月30日、帝国ホテルで開かれた茂木敏充経産相と電力業界首脳との意見交換会。「国民の理解を得てエネルギー・原子力政策を進めるのは重要。そのためにも電力システム改革をしっかり進めないといけない」。茂木経産相は、電力各社の社長を前にこう宣言した。
経産相が業界団体の電気事業連合会(電事連)と会合の場を持ったのは、民主党政権下の平成22年12月の大畠章宏経産相(当時)以来だ。業界側にとって、政権交代後初めての会合は、「政府との関係修復のきっかけとなる」(電力会社幹部)との期待感があった。