M9地震は従来、チリなど海のプレート年代が若い場所で起きる特別な現象と考えられてきた。若いプレートはまだ熱くて軽いので沈みにくく、陸側に固着しやすいとされたからだ。しかし、東日本大震災は約1億3千万年前にできた古い太平洋プレートによって発生。巨大地震の定説は根底から崩壊し、地震学者は再構築を迫られている。
海溝沿いに集中
では巨大地震はどこで発生するのか。京都大防災研究所の西村卓也准教授(測地学)によると、大震災前の衛星利用測位システム(GPS)のデータからプレートの沈み込み帯に蓄積されるひずみの量を解析することで、巨大地震のすみかが分かってきた。
ひずみが特に多いのは千島海溝、日本海溝、南海トラフ、カムチャツカ、アラスカ、チリなどと判明。いずれもM9地震の発生地域と一致した。津波堆積物と日本の古文書の分析から、1700年にM9が起きたことが分かった北米西海岸のカスケード地方も、ひずみが多かった。
ただ、次の巨大地震がいつ、どこで起きるかは分からない。