【リーダーシップを経験する】グローバル時代の人と組織 (3/6ページ)

2013.12.14 05:00

「自分の挙げた成果が全体のどの部分なのかを説明、称賛して報酬を与えるのが経営陣の役割です」と語るアルバッハ氏

「自分の挙げた成果が全体のどの部分なのかを説明、称賛して報酬を与えるのが経営陣の役割です」と語るアルバッハ氏【拡大】

  • 「一人では何もできない。うまくいったら、周りのおかげ-を心掛けてきた」という五味特別顧問

 ◆個人の業績と全体の成功との関係を明確に

 私は経営学者として、こうした理論にはコストや利益が出てこないのに気づきます。経営学者の関心は、企業全体の成功にあります。成功に対する責任は、純粋に法的には経営陣にありますが、事実としては関係者すべてに及び、成功は多くのファクターで決まります。また経営学的な組織論では、社員は各段階で上司であり部下であるという事実を強調しています。ただ個々の社員は、自分の挙げた成果が全体の成功のどの部分なのか、なかなか認識できせん。その関係を説明し、称賛して報酬を与えるのが経営陣の役割です。

 最近のイノベーティブな企業では、事業がプロジェクトの形態で成り立っていて、個々人が一人のアントレプレナー(起業家)として参加し、上司は参加者のポテンシャルを呼び起こすコーディネート力が重要です。もちろん労働プロセスの管理は必要で、従来のヒエラルキー(三角形型組織)的要素はありますが…。

 世界経済の持つダイナミズムが国ごとの企業文化の差異をなくしていますが、私は社員を信頼するというマネジメントが最良であり、最も成功するリーダーの行動だと思います。経営学における新しい成果は、信頼が、企業最適化におおいに貢献することを明らかにしています。

                   ◇

【プロフィル】ホルスト・アルバッハ

 1978~83年ドイツ政府経済諮問委員会委員ならびに委員長をはじめ、ベルリン・アカデミー会長、プール・ル・メリット学士院芸術院会長などを歴任。世界を代表する経営経済学者。

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