◆経験と研鑽を積み重ね、仕事ができる人になれ
世界もソ連が解体するなど激変するとともに、新興国が台頭していますが、その一方で、日本は少子高齢化、成熟経済といわれ、財政危機という問題もあります。しかし日本が経済大国、技術大国であるのは、紛れもない事実です。ただ、私たちは土日も働いて、そうした国をつくってきましたが、若い世代には、ものの豊かさにプラスして「心の豊かさもある文化大国、環境大国」をつくっていただけたらと思います。
日本には互助の精神、連帯感、礼節を重んずる風土や異文化との協調性もあり、問題を解決する体力もあります。私はリーダーになったとき、「一人では何もできない。うまくいったら、周りのおかげ。だめだったら自分が至らない。責任は自分が取る」ことを心掛け、部下とは終身雇用の制度とか外国人かなどに関係なく、家族的な連帯感を持って目標に向かってきました。
どんな国、どんな業種で働くにしても、経験と研鑽(けんさん)を積み重ね、仕事ができる人になることが大切です。皆さんは、リーダー予備軍です。志高く、気合を入れて頑張ってください。
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【プロフィル】五味康昌
東大経卒。1966年三菱銀行(現三菱UFJフィナンシャル・グループ)入行。90年バンク・オブ・カリフォルニア会長兼頭取、東京三菱銀行(当時)副頭取、2004年三菱UFJ証券(現同ホールディングス)会長兼CEOなどを歴任。