罰金をめぐっても米国やドイツでは上限がないが、日本では1千万円以下にとどまる。これでは海外企業から巨額な報酬を得て、不正に技術を流出させようとする人に対する抑止にはなりにくい。
こうした不正競争防止法の改正は喫緊の課題だ。現行法では技術を不正に侵害されたとする立証責任は原告側にある。だが、海外企業に自社技術がどのように流れ、それがどう使われているのかを証明するのは難しい。産業界にはこの立証責任の見直しを求める声が強い。
経団連は今年2月、技術情報などの保護を目的とした新法の制定を提言した。事業活動の公正な競争の確保を目的とする不正競争防止法は、幅広い分野を対象とし、関連法規も多い。このため、技術の保護に特化した新たな法的な枠組みを設けるべきだとの意見だ。そうなれば実態に応じて弾力的な法改正も可能になるため、新法制定は有効な対策だろう。
それでも、日本の技術を徹底して守るには、法律だけでは限界がある。やはり企業自らが自社の技術を防衛する姿勢が欠かせない。