すでに日本企業の多くは、自社の技術者が転職・退職する際に秘密保持契約を結んでいる。ただ、対象となる機密情報を絞り込む必要があり、期間も2年程度とする場合が多いという。あまり厳しい縛りをかけると、転職活動を制限することになるためだ。
しかし、官民をあげて技術の防衛に取り組む以上、もっと制限対象の拡大や契約期間の延長なども検討しなければならないだろう。「性善説」にもとづいた規定の抜本的な見直しは避けられない。
日本からの技術の流出先となっている韓国や中国でも、自国企業の技術防衛に乗り出している。とくに韓国では国が中核技術を指定し、中国を念頭に置いて徹底して流出を防ぐ仕組みを設けている。
また、米国では海外企業が不正に流出した技術を使った製品を排除できる制度を採用しているという。日本ではそうした製品の輸入を差し止めることができないが、今後の検討課題としなければならない。