「保全だけでなく、利用し、活用してこその遺産」との考えから、今ある外壁を取り除き、施設が外から見えるようにして、人が行き交う場にする「周遊整備」を提言。保存整備に必要な資金を集める運動も繰り広げている。高橋さんは「世界遺産登録はスタート。郷土の宝を生かした街づくりをどうするか。スピード感を持って取り組みたい」と決意を新たにした。
一方、ボランティア団体「富岡製糸場世界遺産伝道師協会」は16年に発足。養成講座を受けた市民が会員となり、「伝道師」として小学校などで製糸場の歴史的意義を講演する取り組みを行ってきた。発足当初は「世界遺産への登録は税金の無駄遣いになる」などと理解を得られなかったが、会員は当初の約60人から約270人に増加し、講演は年間約300回に及ぶ。近藤功会長(73)は「活動が浸透し、県民にも世界遺産登録に向けた機運が高まった。勧告を受けた富岡製糸場以外の3施設についても理解を深めてもらえるよう説明していきたい」と今後を見据えていた。