外務省は15日、国際原子力機関(IAEA)から東京電力福島第1原発事故を調査した最終報告書案を受け取ったことを明らかにした。報告書案は非公表だが、IAEAの発表によると、事故の原因を「原発は安全との思い込みがあった」と言及。政府の規制機関などに対しても、事故対策を全く準備していなかったと批判した。
IAEAによると、報告書案は約240ページあり、2年以上かけて、42カ国から約180人の専門家が協力して作成。原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長代理も参加した。
報告書案の中で、IAEAの天野之弥(ゆきや)事務局長は「日本では原発は安全で事故が起きないと考えられていた。しかし、いかなる国でも原発の安全について完全はありえない」と強調。福島第1原発事故は日本特有のものではないとして、各国に安全強化を促した。
IAEAは、日本がその後、原発規制に特化した原子力規制委員会を発足させたことや、事故が起きた際の対応などを強化したことを評価。報告書案は6月のIAEA定例理事会で議論され、9月の年次総会で決定される。