一方、ロイター通信によると、豪州でたばこに支出される金額が減少し、今年1~3月には統計が開始された1959年以降で最低となり、80年代と比べて半分以下の水準になった。PP法施行以外にも2010年に25%、13年に12.5%のたばこ増税が実施されたことや、低価格品へシフトしたことの影響が考えられる。
PP法導入は世界保健機関(WHO)が採択した「たばこ規制枠組み条約」の反映だが、岸氏はWHOが「たばこを害悪」と断定する根拠にも疑問を呈する。「WHOのデータは疫学的推計。たばこを吸う人が肺がんで死んだという相関関係は分かっても、たばこを吸ったために死んだという因果関係までは証明できていない。食生活、遺伝、ストレスと肺がんの原因はいっぱいあるはずです」
岸氏は「WHOの議論は偏っている。さも中立公正な意見であるかのように感じるが、国際機関とは理事国や関係する業界団体などさまざまな意向を受けている」と自身の経験を踏まえて指摘する。経産省官僚だった1995年から98年まで、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)に出向していた。
「たばこに限らず、政策議論は一面的な見方ばかり強調されて報道されることが多い。現実にはもっといろんな要素があるということを踏まえて、広い目で物事をみてほしい。そうしないとすごく偏った議論に加担することになってしまう」とも訴える。