【高論卓説】五輪問題の底流 無責任体制、“老害”が繰り返す失敗 (3/4ページ)

2015.9.29 12:03

2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の建設予定地=7月、東京都新宿区

2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の建設予定地=7月、東京都新宿区【拡大】

  • 国立競技場跡地(鴨川一也撮影)

 さらに長老支配の問題も、先例は枚挙にいとまがない。新国立競技場計画の白紙撤回については、安倍晋三首相が組織委員会会長の森喜朗元首相の了解を取り付けてから、正式に決定した。建設計画に直接の権限を持っていなくても、森元首相を疎かにはできない。

 企業では、経営トップを退いた名誉会長、相談役、特別顧問などのOBが、重要事項の決定に実質的に関与するケースがよくある。意思決定を不透明にして、しばしば“老害”になる。

 トップが自ら進んで責任を取ろうとしないのもよくあることだ。下村博文文科相は検証委の報告を受けて安倍首相に辞意を伝えたが、慰留されて(内閣改造まで)残った。

 採用したエンブレムを白紙にした組織委員会の森会長が記者に「何が残念なんだ」と、人ごとのように答える場面がテレビで流れた。

しかしみな悪気があってのことではなかろう

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