自民党は17日の農林関係会合で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)発効に向けた農林水産分野の対策を決めた。市場開放に備えて国産農産物の競争力を強化し、輸出も拡大して農業を成長産業に育てる。コメや牛・豚肉などは影響緩和策を用意し、農家の不安解消を目指す。ただ、実施期間や予算規模など対策の詳細は党内に設ける検討チームで平成28年秋をめどにまとめる。
小泉進次郎農林部会長は会合で、「生産者の持つ可能性と潜在力を発揮できる環境を整えることで、次の世代に対しても日本の豊かな食や美しく活力ある地域を引き渡していけると確信している」と語った。
対策では競争力強化に向け、畑作や果樹などを対象に産地パワーアップ事業を新設、高性能機械を導入する農家を支援する。畜産・酪農家と飼料加工業者らが連携して生産効率を高める事業も拡充する。輸出は品目別の戦略で後押しする。
また、不安払拭のため、コメは国別枠の輸入量に相当する国産米を政府が備蓄米として買い入れ、国内の流通量を調整して米価を下支えする。最も大きな影響が懸念される畜産農家には、牛・豚肉の所得補填の割合を引き上げ、法制化して恒久的な制度にする。
自民党は工業など他の分野も含めた対策提言を20日に取りまとめ、政府は25日にも対策大綱を策定する。27年度補正予算案などに費用を盛り込むほか、来年の通常国会で関連する法改正を審議する見通しだ。