
神戸市と介護事業所の説明の違い。事業所側は行政処分の取り消しを求め、近く提訴する準備を進めている【拡大】
弁護士は「確かに言葉は不適切な部分があった」と認めた上で、こう主張するのだ。
「(女性は)隠し撮りの状況を分かった上で、わざと怒らせるようなことをして、ヘルパーを挑発した。ヘルパーの行為は果たして虐待なのか」
事業所側は「虐待として処罰するのは不当」として処分取り消しを求め、近く神戸地裁に提訴するとしている。
コミュニケーション不足が虐待に?
「ヘルパーと被介護者が信頼関係を築けず、ちょっとしたボタンの掛け違えで起こった事案ではないか」
兵庫県西宮市で介護者の交流の場を開くNPO法人「つどい場さくらちゃん」理事長の丸尾多重子さんはこう指摘する。
丸尾さん自身も10年間、両親と兄を介護し、看取った経験がある。同法人にはほぼ毎日、全国から親を介護する家族や介護職員から相談が寄せられる。
丸尾さんは「介護はストレスがたまるもの。被介護者が家族でも『首を絞めてやろうか』と思うこともある」といい、「ヘルパーだって嫌なことをされたり言われたりしたら怒りたくなる。介護される側はお金を払っているからと自分たちの権利を主張し、事業者はそれをクレーマーと判断しがちで、双方が対立関係に陥ってしまう」と話した。