
神戸市と介護事業所の説明の違い。事業所側は行政処分の取り消しを求め、近く提訴する準備を進めている【拡大】
今回のケースは「ヘルパーの日頃のストレスが表面に出てしまったのか。事業所側と被介護者、その家族との間のコミュニケーション不足が原因ではないか」と指摘。その上で「(隠しカメラの)映像が証拠になったため、処分は仕方がない。ここまで問題になるまでに行政も対応できなかったのか。対立関係にある両者の行司役を担うのが行政の役目。例えば日頃から地域の空き家を利用して介護者と被介護者の集いの場をつくり、信頼関係を構築できるようにするとか、両者を取り持つ役割を担ってほしい」と提言した。
確かに今回のケースをめぐる市と事業所側の主張を聞く限り、被介護者・家族を含めて関係性の希薄さが浮かぶ。事業所の変更やヘルパーの交代などトラブルを回避する方法は十分あったようにも思える。
介護現場の虐待は、全国の高齢者介護施設を中心に続発しており、要因の一つとして慢性的な人員不足も指摘されている。東京五輪が開催される2020(平成32)年には高齢者人口は3600万人と予測され、超高齢化社会に突入する。介護を必要とする高齢者が増え、丸尾さんは「神戸のような事案はますます増えるだろう」と推測する。
国や自治体は予算と人材の確保に努め、行政によるチェック機能を高める抜本的な措置を取らなければ、今後も悲劇が繰り返されることになる。