
ADHDの治療方法などについて説明する岩波明氏【拡大】
「診断時には、必ず子供の頃の話を伺います。参考になるのが小中学時代の通知表の教師の記載です。『慌てん坊』『おしゃべり』『計算ミスが目立つ』『提出物の期限が遅れる』『忘れ物が多い』といった表現から、子供時代の多動、衝動、不注意が分かることは珍しくありません」
ADHDの治療は、基本は子供も大人も同じ。薬物療法と心理社会的療法の二本柱になる。薬は現在2種類が承認されており、「どちらとも、患者の約8割に効果があります。精神疾患の薬の中では、効果が非常に高い」と、岩波医師は言う。
もちろん、ADHDの患者全員が治療の対象になるわけではない。しかし、ADHDの症状は周囲から理解を得られにくい。否定的な評価をされ、生きづらさを感じているなら、一度、専門外来を受診すべきだろう。
岩波医師は「薬などの適切な治療で、自らの行動を客観的に捉えられるようになり、対処行動をとれるようになる。そうやって生活ががらりと変わった患者さんはかなりいらっしゃいます」と話している。