航空機の乗務員らが浴びる宇宙線の被曝(ひばく)量は向こう数年間、約10年前と比べ2割増えるとの予測を茨城工業高等専門学校などのチームが発表した。太陽活動の低下に伴う増加を新たな手法で推定した。米専門誌電子版に掲載された。
三宅晶子准教授(宇宙線物理学)は「人体に直ちに影響するレベルではないが、飛行時間が長い乗務員は被曝量の基準を上回らないように注意が必要だ」と話している。
宇宙線は太陽系外から地球に届く強い放射線。太陽が放出する粒子によって一部は遮られており、現在のように太陽活動が低下している時期は増加する。
チームは太陽活動の11年周期や、宇宙線が届くまでの状態の変化を考慮した予測法を考案。航空機が飛行する高度12キロでの被曝量は、太陽活動が低下した前回時期の2009年前後と比べ、16~24年は平均で19%増えると予測した。
新手法で1980年以降の35年間を計算したところ、実際の宇宙線の量をほぼ再現できた。主に太陽の黒点数から予測する従来法より正確だとしている。