中国で爆発的に普及する「シェア自転車」 “日本上陸”が難航する理由 (5/6ページ)

 なんとも寂しい状況だ。筆者が取材したところでは、なんとモバイクとの折衝にたずさわった市の職員自身も、アプリはインストールしたもののまだ現物に乗っていないという。エリアが市内の中心部から外れていることもあって、市民の関心はまだまだ低い。

 モバイク側は「駐車スペースのエリアは拡大しており、その利便性は常に向上しております」「札幌でご利用いただいている方々からは非常に好意的なコメントをいただいております」と述べる。なんとか、もう少し利用状況が活発になってほしいところだが……。

 「日本は何事も極めてルール通り」

 日本市場におけるモバイクとofoのもたつきは、9月末ごろから中国側のメディアでも指摘されるようになった。例えば在日中国人ジャーナリストの徐静波氏は、中国のビジネスニュースサイト『億欧』に「なぜ、中国のシェアサイクルは日本での成功が難しいのか」と題した寄稿をおこなっている。その一部を、要点をかいつまんで紹介しよう。

 仮に中国であれば、投資会社の経営者が何人かで集まって酒でも飲んでなにかアイデアを思いつけば、あっという間に実現に移る(いっぽうで当初の段階では、法規への合致や行政から承認を受けることについてそこまで深く考えないのだが)。

 しかし日本は何事も極めてルール通りにやる保守的な国家であり、新しいことをやる前にはまずは法的に問題ないかを確かめ、さらに行政や警察に相談する。日本において「まずはやってみる」というタイプのイノベーションは、単なるメチャクチャなルール違反であるとみなされる。

 モバイクもofoもすでに日本の法規の壁にぶつかっている。なにより難しいのは、日本における放置自転車問題への厳しさだった。中国と同じようにそこらじゅうに駐輪させてしまえば、1日の撤去の罰金だけでもとんでもないことになるだろう。

 モバイクやofoは当初、セブン-イレブンやファミリーマート、ローソンなどのコンビニと提携したシェアサイクルのポート設置を考えていた。だが、ポートを貸してくれるほど広い駐輪スペースを持つのは田舎の店舗が多いのであり、車社会でシェアサイクルの需要は低い。対して大都市圏の店舗では駐輪スペースが少ないうえに借り賃が高額になるのだ。採算は合わない。

 また、徐は、(1)日本では自転車を自分で所有する人が多くシェアサイクルの需要が中国ほど高くないこと、(2)事故の可能性が上がる自転車通勤を忌避する職場もあること、(3)保守的で中国への警戒心も強い日本社会で中国企業が地方行政の積極的な協力を得るのは難しいことなどを指摘しており、モバイクやofoは日本での成功が望めないとも述べる。おおむね的を射た指摘だろう。

「チャイナイノベーション」の成功は中国ならでは