【地球を掴め国土を守れ】技研製作所の51年(17)開発を支えた勘と経験、構想力 (1/2ページ)

垣内が描いた1号機の設計図。この段階で、垣内は2号機まで視野に入れていた
垣内が描いた1号機の設計図。この段階で、垣内は2号機まで視野に入れていた【拡大】

 「年も離れ、性格も全く異なる」ふたり。32歳の北村精男(あきお)(技研製作所社長)と、52歳の「高知のエジソン」垣内保夫(株式会社垣内の創業者)のコンビは、前代未聞の無振動・無騒音の杭(くい)打ち機の発明に夢中になった。昭和48年のことだった。

 世界中どこにも前例がない機械で、全く新しい「圧入原理」(地中の抵抗力を生かした杭打ち理論)に基づく機械を生み出そうというのだから、「推測の領域でまとめ上げる感性が求められることとなった」(北村)。

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 2人に共通していたのは、豊富な現場経験に根ざした「勘」の鋭さだ。

 北村は高校卒業後、このときまで約15年間、当時の最先端機器だった建設機械を操り、高度経済成長期の建設ラッシュを突っ走ってきた。

 一方の垣内は、「戦前から中古の機械を扱い、戦時中は航空機の油圧機器や回路、戦後は製材機のようなプロ用機械から業務用洗濯機まであらゆる機械を扱う豊富な知識をもっていた」(北村)。ゆえに、初めての仕事でも目的を達成するために本質を見事につく構想力に優れ、想像したものを具現化する能力に長けていた。

 2人は、まずは1号機で圧入原理の正しさを実証し、2号機で実用化という構想をたてた。

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