
裾野に雲がかかる富士山。下は山梨県の山中湖=8日【拡大】
ただ世界遺産委は、登山者20万~30万人が毎年押し寄せる現状を「神聖な雰囲気を阻害する方向に作用」と指摘。通常は6年ごとの提出としている遺産保全の報告書を3年ごとにするよう求め、監視を強めている。
両県は登録決定後、環境保護や安全対策に充てるため、原則1人1000円の入山料の任意徴収を開始。登山者が持ち込むごみの減量といった環境改善方針を16年にユネスコへ報告した。今年12月までには、1日当たりの望ましい登山者数の目安を盛り込んで、新たな報告書を提出する。
貴重な遺産を将来世代に確実に引き継ぐために、たゆまぬ努力と工夫が求められている。
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三保松原 残る景観問題
外国人観光客に人気の東京や京都、大阪を結ぶ「ゴールデンルート」の中間にある富士山。世界文化遺産登録による知名度アップと全国的な訪日客の急増が追い風となり多くの外国人が訪れ、観光需要は堅調だ。だが登録決定から5年を迎え、より消費額の多い宿泊客数は落ち着きつつある。
富士山の遺産登録が決まった2013年、訪日客が初めて1000万人を超えた。静岡県によると、日本人も含めた同県への観光客数は12年度から5年連続で増えており、16年度は延べ1億5000万人に達した。県は「外国人客の増加が下支えした」とみる。ただ宿泊客に限ると、同年度は5年ぶりに減少した。
山梨県も同様で、観光客は12年から毎年増えてきたが、17年の宿泊客数は県推計で前年比9.2%減だった。県は観光シーズンの天候不良が要因とするが、静岡県の担当者は「団体から個人旅行にシフトした訪日客がゴールデンルート以外に流れ、恩恵を受けづらくなっている」と分析する。