「カセットテープ」が再評価?! 中年よ、「黒歴史」を含めて語ろう (2/5ページ)

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 このカセットテープだが、中年としては、語りたいことがいっぱいあるのではないか。

 録音する時の「ガチャ」という音を回避するために、一時停止ボタンを駆使したなあ(分かります?)とか、「エアチェック」という言葉があり、『FMステーション』などのFM雑誌を読んでは予約したなあとか、この手の雑誌についてきたカセットレーベルを使ったなあとか、バンドやっている奴から下手くそなライブのデモテープ(通称:デモテ)を売りつけられたなあとか、時々テープが絡まったなあとか、レコードやCDをダビングしようとしたら微妙に分数が足りなかったなあ、などである。

 特に、無駄にバラードなど長い曲があると面倒くさい。X(現:X JAPAN)のメジャー1stアルバム『BLUE BLOOD』は「ENDLESS RAIN」と「ROSE OF PAIN」という曲が長く、ダビングがなかなか大変だった。

 しかし、これらはあくまで、全国紙が「カセットテープブーム、再来」などと書く時に出てくる「行儀のよい」「一般論」としての振り返りである。

◆「テープづくり」の黒歴史

 中年がカセットテープを語る時に、避けては通れないのは、「黒歴史」ではないだろうか。たとえば、「テープづくり」だ。「ジャーマン・メタル、究極の10曲」「狂気のスラッシュメタル20選(曲が短いので、20曲入る)」「打倒メタリカ! 日本のメタルBIG4」「死ぬほど踊れるユーロビート」など、あくまで自己満足のテープを編集するなど、今、タンスから出てくると顔から火を吹きそうな恥ずかしい体験である。

 いや、これは、ある意味無害だ。あくまで自己満足だからだ。片思いの異性や、交際相手のために作ったカセットテープの黒歴史こそ、中年は語るべきではないだろうか? 「そんなことをする奴、いるのか?」とあたかも、痛い奴を嘲笑する態度をとる奴がいるかもしれない。いるんだよ。いや、君も中年ならきっとやっていたはずだ。少なくとも、私はやっていた。

いろいろ知恵を絞った編集