2年かけて修繕を終え、入居者を募集すると全国から応募が殺到。夫とともに130人の応募者一人一人と面談し、映写技師や宮大工、イラストレーター、看護師など7人を選んだ。「当時は今のように職人限定ではなかったが、確固たる思いを持つ人に入ってほしかった」と打ち明ける。
今でも心がけているのは、住人たちとの密なコミュニケーションだ。店舗に顔を出しては、近況や悩みを聞いたり、おにぎりなどを差し入れたりする。生活が乱れてしまう若者には厳しく接することも。それもあって、「お母さん」と慕われる存在になった。これまでに路地から巣立った若者は25人を数える。
見えてきた課題
もの作りの職人長屋としてメディアに取り上げられることも増え、注目を浴びることも多くなった、あじき路地。テレビドラマの撮影で使われ、空き屋活用の好事例として国から視察が訪れたこともあった。
一方、知名度が上がるにつれて「路地」としての課題も浮かび上がってきた。
現在4店舗あるが、ある店舗で職人が買い付けや百貨店などへの出店で不在にすると路地に人気がなくなり、観光客が他の店が開いていることに気付かずに帰ることが少なくないという。安食さんは「いつ来るか分からないお客さんを待つだけではだめだし、せっかく来たのに開いていないと残念がる気持ちも分かるし」と話す。小物専門店の松島さんも「店を知ってもらうためには、(あじき路地の)名前に頼らずに自分たちで発信することも必要」と試行錯誤しているという。