これも時代か…職人版「トキワ荘」が直面する課題 京都あじき路地、15年目の岐路 (3/4ページ)

休日限定でオープンするあじき路地の店の前で立ち止まる観光客ら=京都市東山区
休日限定でオープンするあじき路地の店の前で立ち止まる観光客ら=京都市東山区【拡大】

  • 大家の安食さん(左)が、入居する職人におにぎりを差し入れて語り合うこともある=京都市東山区
  • 住居兼店舗で商品を作る革小物職人の松島健二さん=京都市東山区

 2年かけて修繕を終え、入居者を募集すると全国から応募が殺到。夫とともに130人の応募者一人一人と面談し、映写技師や宮大工、イラストレーター、看護師など7人を選んだ。「当時は今のように職人限定ではなかったが、確固たる思いを持つ人に入ってほしかった」と打ち明ける。

 今でも心がけているのは、住人たちとの密なコミュニケーションだ。店舗に顔を出しては、近況や悩みを聞いたり、おにぎりなどを差し入れたりする。生活が乱れてしまう若者には厳しく接することも。それもあって、「お母さん」と慕われる存在になった。これまでに路地から巣立った若者は25人を数える。

 見えてきた課題

 もの作りの職人長屋としてメディアに取り上げられることも増え、注目を浴びることも多くなった、あじき路地。テレビドラマの撮影で使われ、空き屋活用の好事例として国から視察が訪れたこともあった。

 一方、知名度が上がるにつれて「路地」としての課題も浮かび上がってきた。

 現在4店舗あるが、ある店舗で職人が買い付けや百貨店などへの出店で不在にすると路地に人気がなくなり、観光客が他の店が開いていることに気付かずに帰ることが少なくないという。安食さんは「いつ来るか分からないお客さんを待つだけではだめだし、せっかく来たのに開いていないと残念がる気持ちも分かるし」と話す。小物専門店の松島さんも「店を知ってもらうためには、(あじき路地の)名前に頼らずに自分たちで発信することも必要」と試行錯誤しているという。

「それも時代なんですかね」