「JR東は規模が大きく(一部地域の)運休による収支への影響は小さいが、首都圏の私鉄などには打撃だ。足並みをそろえるのは難しいだろう」
--企業は計画運休に伴う出社可否の判断が難しいとの意見がある
「一部の路線が動いているとはいえ、いずれは止まる可能性が高い。このような状況で、どう行動するかは会社の内規で定めるべきだ。例えば計画運休が実施されたら出社せず、テレワークなどを利用することを規定化すればよい。災害時にテレワークなどが有効であることは以前から議論されていたが、導入している会社は少ない」
--関西では計画運休が定着している
「関西では平成26年に計画運休を経験しており、加えて今年地震や豪雨などの災害が続いたことが要因だろう。災害の経験があると、対策への感度はより高く、前向きになる傾向がある」
--計画運休は今後どうあるべきか
「計画運休の定着には、鉄道事業と利用者の双方が『災害に遭遇しないことが最も大切』という認識を共有することが必要だ。さらに運休の基準を決める必要があり、これが明確であれば批判も大きくはならないだろう。今回の計画運休で、利用者は電車が災害で止まる可能性があることを認識したはずなので、次は鉄道事業者がどのような時に電車を止めるか、明確な基準について真剣に考える時期を迎えている」
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【プロフィル】市川宏雄
いちかわ・ひろお 昭和22年、東京都出身。早稲田大大学院博士課程、ウォータールー大大学院博士課程修了。富士総研などを経て平成9年から明治大教授(都市政策・危機管理)。30年より同大名誉教授。
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--計画運休の是非をどうみるか
「都市や鉄道が災害に遭う確率がある程度高いと事前にわかれば、混乱を避ける意味で、適切で必要な措置だ」
--自然災害の恐れが少ない路線に運休は不必要との見方もある
「東日本大震災の際、ほとんどの電車が運休する中で、地下鉄の銀座線は運行を続けたが、乗客が集まりすぎて逆に電車を止めることがあった。計画運休については鉄道各社で足並みを合わせることが必要だ」
--警戒が空振りになるとの批判も