医療費補償、ブーム背景に充実 「ペット保険」加入には注意も必要
愛犬や愛猫は大切な家族の一員。病気やけがに十分な治療を施したいと考えている飼い主も多い。ペットブームを背景に、医療費負担を軽減してくれる「ペット保険」が注目されている。(玉崎栄次)
5年で市場3.5倍
ペット保険は、犬と猫を主な対象に損害保険会社などが売り出している。
全国の犬と猫の飼育頭数は計約1979万頭(一般社団法人ペットフード協会調べ、平成27年)。しかし、ペット保険を手がけるアイペット損害保険(東京都港区)が調べたところ、加入者は、その5%程度という。
ただ、市場規模は急拡大中で、21年度に約100億円だった市場は、ペットへの意識の高まりや動物医療の高度化などを背景に、26年度には3・5倍の約350億円にまで拡大している。
ヨークシャー・テリアを飼っている会社員の女性(25)=横浜市=も4年前に保険に加入した。以前飼っていた別の犬が、けいれんなどを伴う水頭症を発症。「検査や手術で計70万円を請求され、経済的に厳しかった」。その後、その犬は死亡した。2代目となる現在の犬を飼い始めたときに保険に加入したという。
写真入り保険証
ペット保険の多くは1年契約で、通院・入院・手術をセットにした補償(総合型)が基本。補償割合は5割と7割の2通りのコースを設けている会社が多い。
犬の保険料は、犬種や体重に応じて差が出る。チワワなどの小型犬を0歳で7割補償の契約を結んだ場合、保険料は月額2千~3千円台が相場。猫の保険料は一律の会社が多く、同1千~3千円台となる。保険料は犬・猫ともに年齢が上がるほど上昇する。
新規加入できる年齢は、高齢化による傷病のリスクを踏まえ7~10歳に設定する会社が多い。そうした中、アイペット損保が販売する「うちの子」は12歳11カ月まで加入が可能。事業戦略室の涌井沙織さんは「0歳から加入する人が多いが、加入者の間口を広く設けたい」と話す。
一方、保険金の受け取り方法は2通り。病院窓口で補償額を差し引いてもらい自己負担分を支払う方法と、いったん全額を支払ったうえで後日領収書などを保険会社に送り、補償額の振り込みを受ける方法だ。
アイペット損保は、加入者に愛犬や愛猫の写真入り保険証を交付。全国に3863ある提携病院で提示すると窓口精算できる。非提携の病院では、後日の請求手続きが必要だ。
「どうぶつ健保ふぁみりぃ」を販売するアニコム損害保険(新宿区)の提携病院はさらに多く、全国に6004。加入者の8割は窓口精算を行っている。経営企画部の塩沢みき課長は「治療費が数千円の場合、後日の請求手続きを面倒に感じる加入者も多いため、今後も提携数を増やしたい」。
予防接種は対象外
22年に設立されたau損害保険(渋谷区)は、入院と手術に特化して保険料を抑えた商品(特化型)が主力。「後発組なので保険料で差別化している」(広報担当)。0歳で7割補償の場合、犬(チワワ)で1460円、猫で1290円と割安だ。また加入者全てに、電話で獣医から飼育相談を受けられる年中無休の専用ダイヤルを設けている。
ペット保険の加入には注意も必要だ。去勢や避妊、出産、予防接種などは補償対象外。また、補償額や通院・入院日数に上限が設けられている場合もあるため、契約前に確認が必要だ。
ファイナンシャルプランナーの馬養雅子さんは「小型犬と大型犬ではけがのしやすさも異なるので、総合型や特化型などペットの種類に応じた保険を選んでもらいたい」と助言している。
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