「俺がそれに気付いたのは60歳過ぎてからだった。異性も同じなんだよね。本人がいいヤツなら、追っかけなくても向こうから寄ってくる」と笑った。
朝は必ず体操をする。食事にも気を遣い、“特製スープ”を毎日飲む。「いや、もう限界だね。いよいよ天命が尽きるところまできた」とけむに巻きつつ、“超人エピソード”を明かしてくれた。80歳のときのこと。帯状疱疹を患い、顔にシミができた。一生残るといわれたが、まもなく消えてしまったという。
「皮膚科の先生が驚いていたよ。どうも細胞が元気みたいでね。高齢で発症したがんもすぐに再発し、10回も手術しましたから」と笑わせる。「だからね、奇跡が起きるという、いちるの望みはあるんだ。元気になったら何でもやるよ」
そういう彼は、来年の劇場版25周年に向けてアイデアを練る。次作のテーマは「希望」。子供に、大人に、夢を与える仕事はまだまだ続いていく。
やなせたかし 大正8年、高知県出身の93歳。本名、柳瀬嵩。東京高等工芸学校(現・千葉大学)卒業後、三越宣伝部デザイナーを経て、絵本作家、漫画家、作詞家として幅広く活躍。昭和48年「キンダーおはなしえほん」に「あんぱんまん」を掲載。63年「それいけ!アンパンマン」のテレビ放送開始。平成元年、シリーズ初の劇場版が公開された。15年までの30年間、月刊誌「詩とメルヘン」の編集長を務め、19年から「詩とファンタジー」を責任編集。21年には「それいけ!アンパンマン」が世界で最もキャラクターが多いアニメシリーズとして世界ギネス記録に認定された(当時1768体、現在も増加中)。