安倍晋三政権が、「成長戦略の中核」と位置づける女性活用のための新たな政策を相次ぎ打ち出している。政府がかつてないほど女性活用に積極的な背景には、急速に進む少子高齢化による働き手の減少がある。とはいえ6割以上が出産で離職し、女性管理職率も先進国で最低レベルの日本。首相が目指す「女性活用を成長の原動力に」という理念の実現には、社会全体の意識改革が必要だ。
「復職したら子供をみてくれる?」
東京都杉並区に住む女性(31)は、出産を機にアパレル販売の仕事をやめた。復帰も考えたが、夫には「無理」と即答された。
職場は土日の勤務も当たり前。だが、頼りの夫も平日の帰宅は夜半で、週末は疲れ切って寝ている。女性は「辞めるほか選択肢はなかった」と話す。
出産を機に6割以上の女性が仕事をやめる-。これがこの20年来、変わらない日本社会の実情だ。そもそも女性の就業率が低い。2010年版「男女共同参画白書」によると、高等教育を受けた女性の就業率は66.1%。経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国(当時)の平均79.5%を大きく下回る。