「本当はニューヨークに行きたいのかも。すごいダンサーだと自負するのに、実際はチョイ役で、でもいいのよ、と一生懸命踊ります。はたから見れば、あれ? と思うような、夢見る人の滑稽さや、どこかちぐはぐな姿が、魅力的に見えればいいなと思います」
ジルを取り巻く面々は、街にのさばるギャングたち(松尾スズキ、串田ら)や、いかさまボクサー(大東駿介)とひと癖ある面々。華やかに舞う踊り子も、女狐よろしく男に貢がせる者もいれば、逆に貢ぎだまされる者もいる。やがて、それぞれ恋や夢に目覚め、破れて、それでも「まあ、いいか」とたくましく人生を歩んでいく。
「いい意味で人々がいいかげんに生きた時代の、にぎやかだけれど、何となく切ない瞬間が訪れるような…ちょっと懐かしい空気を表現できたら」