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S飯店とかつて暮らしたマンションと窓 長塚圭史 (1/4ページ)

2013.11.12 18:00

こうした光景は7階のその室からは見えるはずもなかったか(長塚圭史さん撮影)

こうした光景は7階のその室からは見えるはずもなかったか(長塚圭史さん撮影)【拡大】

  • 【続・灰色の記憶覚書(メモ)】演出家の長塚圭史さん(提供写真)

 【続・灰色の記憶覚書】

 場所も味も当時のまま

 東京・千駄ケ谷にS飯店という中華料理店があって、小龍包が食べたくなるとそこへ行く。実はこの店には小学生の頃から通っていて、というのは、S飯店はマンションの1階部分で営業しており、そのマンションはかつて私が小学2年生頃から高校1年頃まで暮らしていたという経緯があるからだ。おまけにこのS飯店で働く中国人の方々が我が家の隣の室(へや)へ引っ越してきたこともあって、つまり隣人という関係でもあったわけで、道理で我が家は、通常やってはいないテークアウトとか、ちょっとした出前なんていう特別なお願いもできたのかと思う。

 マンションの入り口はすっかり改装されてしまったし、1階部分にあったいくつかのブティック、コンビニなどもまるっきり入れ替わってしまったのにもかかわらず、このS飯店だけは昔と全く変わらずにそのまんま残っていることに驚かされる。また幸いにして味も保たれている。なので私にとっては勿論、小龍包の美味しい店、であると同時に、子供の頃の記憶に出合う再会の店でもあるのだ。具体的に店員さんが幼少期の私を覚えているということではない(積極的に言い出したこともない)。ただ、匂い、店内の照明、黒い石テーブルの感触、勿論、味。以前と変わらぬ全てが私の記憶を刺激する。

隣室に店員らの「異国」

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